親戚のオヤジを相手に土下座

CD/ATMの発達と普及で利用者の恥の概念が鈍化しているかもしれません。
借入金にも種類がいくつかありますが、なかでもキャッシングは借りた~!という実感に欠けるのではないでしょうか。人に頭を下げたとか、恥を忍んで得たものというわけでもない。
手元にキャッシングカードのある場合には、最寄のCD / ATM でいつでも借入可能。しかも人知れずこっそりと出金できてしまう。
カードを差し込むと、機械からニュニュニュっと現金が吐きだされ、自分の右手だか左手だかでササッと受け取る。この一連の流れや動作は、預貯金を銀行口座より引きだすときと、なんら変わりなし。ちょっとした画面上の違いはあっても、傍からはまったく分からない。周囲の人目から上手にカモフラージュしてくれる配慮の行き届いたあのシステム。
「違う違う…これは借入金だぞ」と、ここのところの違いを自覚し続けられるATM使用者は多いのか少ないのか?
泥臭い人間劇を経て手にした借入金と、お手軽なお申込みにより手にした借入金。このふたつを並べたとき、借入れ実現までの心理的かつ時間的なコストの違いは明白ながら、返済義務の重さはこの違いに比例はしない。利息や返済条件を基に返済を計画すべきだと、明晰に記憶できる精神状態なら、そもそも無謀な借入はできないのでは。
例えば、親戚のオヤジを相手に土下座して頼み込んだ借金。「お前はバカだクズだ」と頭上に降り注ぐ罵詈雑言の嵐。これに耐え忍びようやく手にした現金がひとつ。
別のひとつには、消費者金融からの簡便かつストレスフレーな融資実行。自宅にて申込書を記入。誰にも会う事なくカードが自宅へと郵送されます。添付資料には、CMタレントがにこやかにほほ笑む写真すら同封されているかもしれません。ご利用は計画的に―。

クレジットカードは計画的な利用を

何が何でも返済せねばと、身も心も引き締まるのはいったいどちらなのか。実際に親身なのは実ははたしてどちらなのか。
怖いオヤジが青筋を立てて怒鳴る映像と、魅力的なCMタレントの爽やかな笑顔。後者の返済が滞ったとき、返済取り立てにやってくるのは、間違いなくCMタレントではないのは明らかなのに。

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